ワンハンドレッド.blog

~100本ノワカレ道ヨリ~

「ちいさこべえ」

今週のお題が「好きな漫画」と初めて挑戦するには易しいテーマだったのでやってみようと思います。

 

 

好きな漫画はいろいろあるのですが、今日は望月ミネタロウ先生の「ちいさこべえ」という漫画の事を書いてみたいと思います。

 

 

この漫画に行き着く道順はですね・・・

 

 

僕は映画が好き→とくれば黒澤明黒澤明山本周五郎の小説をいくつも映画化している→山本周五郎の小説をたくさん読む→山本周五郎の「ちいさこべ」は漫画化されているらしい→望月ミネタロウの「ちいさこべえ」に辿り着く。

 

 

という感じです。

 

 

TSUTAYAのコミックレンタルで借りてみて、とても面白くて、また読みたくなってまた借りて、しばらくしてまた読みたくなって、そして買う。そのくらい好きな漫画です。

 

 

絵が可愛いんです。特に女の子が。あと、小物?っていうんですかね、茶碗とか急須とか料理とか靴とか、そういう小道具類が洗練された線で描かれていて、デザイン的というか、とても可愛らしくて僕はよく真似して描いてみたりしてました。そういう小道具類を描くことの楽しさを教えてもらいました。

 

 

原作の舞台は江戸時代。漫画はそれを現代へと移しています。

 

 

物凄くざっくりとあらすじを言わせてもらうと。

 

 

町内のほとんどが燃えてしまう程の大火事で店と両親を失った大工の若棟梁「茂次(26歳)」とその火事で燃えてしまった福祉施設で行き場を失った子どもたちの世話をしている茂次の幼馴染「りつ(20歳)」。りつは子どもたち(5人)を引き連れて茂次の実家に身を寄せます。茂次とりつには様々な困難が降りかかりますが、「大留」(茂次の工務店の名前)を建て直そうと懸命に生きていく。そんな2人の姿を描いた物語です。

 

 

この子どもたち。あんまり可愛くありません。憎たらしいし、反抗的で、反逆的で、もう言ってしまいます、くそガキです(一番下の子は可愛らしいんですが)。望月ミネタロウ先生、及び山本周五郎先生、ごめんなさい。でも、読んだらわかります。(原作の方はそうでもなかった気がしますが)

 

 

茂次の顔は長髪のうえに伸びに伸びた髭のせいで、どんな表情をしているのかよくわかりません。りつも表情の起伏を見ることが出来ません。感情が露になるシーンでも隠されて見ることができません。僕はこの漫画のこういうところに強く惹かれました。何か不思議で最初はザワザワして、でも魅力的で、ある種のなんでしょう・・・快感? 以前、宮川大輔さん(あか~んの)が「チン寒ロード」と名付けたお股がひやっとするデコボコ道を車で走るテレビがあったのですが、なんかね・・・あんな感じの不思議な感覚を覚えるんです。(いや、違うなぁ・・・全然違うなぁ。)

 

 

漫画ってキャッチーなものかなって。でも望月先生のはちょっとそうじゃないんですよね。なんか凄く好きなんですよね。

 

 

物語の中盤。度重なる苦難に畳みかけるように、完成間近だった普請場のひとつが放火され燃えてしまいます。大留のみんなは請け負っていた施主に事情を説明して手付けを返そうと話し、暖簾分けした兄弟分も駆けつけてきます。しかし、茂次は借金を重ね再普請に取り掛かるとみんなに告げます。茂次の意地っぱりな態度にみんなは驚き反対し、失望すらされてしまいます。しかし、その態度の裏には彼らしいみんなへの配慮だったり、気遣いだったり、深い考えだったりがあって、それを知ったみんなは茂次を、自分たちの棟梁を信じられなかったことを悔いて、出来ることをやろうと前を向きます。このシーンからは本当に多くの事を学びました。素晴らしいシーンです。誰もが茂次を好きになるのではないでしょうか。

 

 

りつは「意気地なしより意地っぱりのほうが、男らしいです。」と茂次を勇気づける。

 

 

若いふたりが苦難に立ち向かう姿は本当に感動的で、何度も励まされましたね。

 

 

望月ミネタロウ作品で読んだことがあるのは「万祝」「東京怪童」「座敷女」「鮫肌男と桃尻女」「ずっと先の話(短編集)」「ショート・ボム(短編集)」。

 

 

「万祝」は海洋冒険モノ。好きです。鴨林が良いキャラしてる。「座敷女」は怖いです。「東京怪童」は名作です。「ショート・ボム」は・・・可愛いです。

 

 

ちょっぴり変だけど魅力的な人物を描く望月ミネタロウ先生の漫画。好きです。

        f:id:on2hxg:20191121181824j:plain